投資銀行家と漁師の話
ある投資銀行家がバケーションをとってカリブの島へ行った。
そこに魚釣りをしている漁師を見つけ、声をかけた。
「たくさん釣れてますか?」
「いや、今日食べる分だけだからもう帰って昼寝をするところじゃよ」
「ゆうゆ自適ですね。でもそれはもったいない。船でも出してもっとたくさん釣ればいいのに」
「船なんざ買う金もないし、これで十分さ」
「いやいや、あなたは釣りの腕も良さそうだし、それをプレゼンして投資家を集めればいい。それで船を買って、大量に魚を釣るんですよ」
「そんなに釣ってどうすんだい?」
「市場で売って儲けるんです。船を買ってくれた投資家にも配当を払ってね。そうすればまたさらに投資家を集められるから、船を増やして行く」
「なんか、大変そうじゃのぅ」
「そりゃあそうです。しばらくは寝る間も惜しんで働くことにはなるでしょう」
「そりゃエライコッチャのう。大好きな昼寝もできんのかね?」
「無理です。そのうちあなたの真似をする連中も現れると思いますから、先に負けないようにたくさん魚をとって、その競争相手も買い取ってしまう必要もあります」
「別に一緒に釣ればいいじゃろう。」
「いけません。競争には勝たなければなりません」
「そういうもんかね。で、そんな競争をいつまで続けるんじゃ?」
「ある程度軌道に乗ったら、船も何も売り払うのです。きっと高値で売れます」
「なるほど。それでどうなる?」
「あとは悠々自適にその日食べる分だけでも釣りをして、好きなだけ昼寝でもして暮らせばいいでしょう」
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